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美らコラム ~2019 沖縄の介護~

2019.11.14

美らタウンコラム~2019沖縄の介護~

初めまして、美らタウン沖縄の當真と申します。
私は、美らタウン沖縄に務めるまでの約14年間、介護の世界に身を置いていました。

今回は、私の経験を通して得た情報や知識を幅広い方に知ってもらいたく、下記の2つの目線に立って書いていきたいと思います。

  1. 介護職に興味をもっているが踏みきれない人
  2. 身内の介護の事で頭を悩ませている人

最後まで読んでいただけると嬉しいです。


働く側編

介護職は安月給!?

介護職の給与が安いというのは昔の話です。

確かに介護保険制度がスタートした2000年からの約10年間、介護職の給与は全国的に低迷していました。
その後、法改正などを繰り返していく中で処遇改善加算が誕生し、徐々にですが介護職の給与は上昇して来ました。

今では、処遇改善にも種類があり、企業の規模や体制に応じて加算の額が違ってきます。
この加算の配り方は、企業が独自で決めてよいという事なので、月の給与に上乗せや賞与として配布する方法などがあります。

歩合制という世界ではないので大きなUPは望めませんが、地道に経験を重ねてポジションを上げて行けばとても安定した職種だと思います。

介護施設の種類によっては、無資格者でも就業可能、又は研修制度や資格取得に向けた支援もあります。特に資格が無い、やりたい事が決まっていない、人と接する事が好きな方は、とりあえず面接から一歩踏み出しても良いと思います。

排泄物の処理をする汚い仕事!?

介護職について悪いイメージはありませんか?

悪いイメージというのは、「低賃金」と「排泄物の処理をする汚い仕事」ではないでしょうか。
この考え方について、私は否定をしようとは思いませんし逆に当たっていると思います。

ただ1つ言わせてもらえば、お風呂の介助、トイレの介助、オムツ交換など、身体の介護に関して汚いと捉えるかはあなた次第ですし、介護職に向いているか向いていないかはここだと思います。
しかし、いくら努力しても今までの環境や体質などで乗り越えられない方もいます。

例えば、自分の子供が乳児期に便秘していて便がうまく出来ないといった経験はありませんか?

実はそれと一緒なんです。
お年寄りだって人間なんです。
食べたら出さなきゃいけないんです。
年齢を重ねていく内に筋力が低下してしまい、上手く排泄をする事が出来ない介護者が多数いますし、その介護者には、内服薬を調整して便を柔らかくしてから排泄をするという方法が取られることが殆どです。

そんな苦しい思いをしてやっと排泄できた介護者に対し「汚い」という感情が生まれるでしょうか?

その感情が生まれるのであれば、今すぐに介護職から身を引いた方が良いと思います。
こういう方は、介護者の虐待を行う可能性が高いと思います。

やっとの思いで排泄した介護者に対し「おめでとうございます」という感情が生まれる方は、介護職に向いていると思います。
この感情が出れば、介護士としての第一歩をスタートしたと言ってよいでしょう。

「介護職は汚い」というのは、その人自身がどう捉えるかで簡単にクリア出来る問題です。

介護士は腰を壊す!?

介護士は「腰を壊す」や「ヘルニアになった」など、介護者を抱える仕事だけに腰痛になる方が多いというイメージがあると思います。
確かに、介護職には腰痛になる方が多いのが現実です。ただし、多いというだけで必ず腰痛になるという訳ではありません。

ここからが本題です。
ではなぜ介護士は、腰痛になりやすいか分かりますか?

1つ目の要因として、介護者を抱える事が多いからというのもありますが、それ以前に一人として同じ背格好の人が居ないことです。
どういう意味かというと、習う場所、習う人により介護方法は幾通りも存在し、その中で自分自身の体格、介護者の体格、介護者の残存機能をしっかり把握した上で介護方法を考えなければならないという事です。

例えば、身長150cmの女性と身長180cmの男性とは、介護方法が違って当たり前なんです。
また、介護者が右半身麻痺、左半身麻痺でも変わってきます。
それと、ボディーメカニズムを勉強することも大事です。

2つ目の要因として、介護士に合わせた介護用品の高さ調整です。
もちろん介護用品というのは介護者に合わせて選定するものですが、場合によって介護士に合わせる必要もあります。

自分で歩行や排泄が出来ない介護者には、介護ベッドと車いすが必要になります。
介護士も人によって身長が違うので、オムツ交換の際には自分に合った高さにベッドを調整しないと腰痛の原因となります。
しかも、オムツ交換は一瞬で終わるものではなく、おおよそ10分間同じ体勢となります。
介護士が介護する体勢の良し悪しで、腰痛になる確率は変わります。

それと車いすやベッドの移乗も同様で、着地側の高さを下げてから移乗をするなど介護をする上での基本的な体勢を常に意識すれば、必ずしも介護士は腰痛になる事はありません。
しかし、介護する時間に追われこの様な手間を省いてしまうのが現状です。

以上の事から、今後介護職を考えている方は、ボディーメカニズムを意識しながら職場の上司の指導を仰ぎより良い介護を心掛ければ、腰痛防止になると思います。

介護職のやりがいとは!

介護のやりがいは、下記の2つだと思います。

1つ目は「ありがとう」という言葉です。
日頃の生活の中でもありがとうと言われる事はありますよね?
例えば自宅で食事の準備をした時、職場で上司にコーヒーを入れた時など、日常生活の中で「ありがとう」は、良く言われますし耳にすると思います。

しかし、介護で得られた「ありがとう」は大きさが全然違います!
介護施設に入所し家族と離れて暮らしている介護者からの「ありがとう」は、介護士に対し家族愛的な感情も加わってスペシャル級な「ありがとう」に感じます。この「ありがとう」は、今までに感じた事がない幸福感に満たされ、本当に嬉しく感じます。

2つ目は介護にゴールが無いという事です。
介護者の病歴・病状・各身体機能に応じ、介護方法も様々な選択をしなければなりません。
介護者が天寿を全うされた後に「あの時もっとこうやっておけば良かった」「もっとこう出来たんじゃないか」など後悔だけが残ります。
これは寂しいように思われますが、本当に介護者の為を思った介護が出来ていたからこそ、この気持ちになるのです。
この気持ちこそが次なる高みへいざなってくれるし、新たに接する介護者に対して、より良い介護に繋がると思います。

この2つの感覚が日常に溢れているのが「介護」です。

介護職を考えているアナタへ!

現在転職を考えているアナタ!
もしくは、一旦介護から離れてやっぱり介護に戻ろうかなぁと考えているアナタ!
アナタは、今までの仕事に対し「充実していた」と心から言えますか?

モノを相手に仕事をしていると「考える事」はよくあると思いますが、人を相手に仕事をしていると「考えさせられる事」の方が多いと思います。

人は、常に五感を刺激していると「充実感」を得ます。介護の世界は、常にこの感覚が回り回っているという状況です。
人間誰もが直面する「死」「終活」に深く関わり、毎日人間らしい感情の中で仕事が出来る介護職は、とても素晴らしい仕事だと思いませんか?


介護を受ける側編

介護保険サービスの利用方法!

介護保険サービスを受けたい、又はどのようなサービスが受けれるのか聞いてみたいという方は多くいると思います。
しかし「どこに行けば話が聞けるの?」「サービスを受けるにはどこに行ってどんな手続きが必要なの?」など、不明な点が多く困っている方が多いのが現状です。
ここでは大まかではありますが、利用までの流れについて説明したいと思います。

  1. 介護保険サービスを受ける本人、若しくはご家族などが市役所の担当窓口へ行き、申請をします。
  2. 市役所の指定する日時に担当の方が自宅まで来て、現在の身体機能や生活環境、今までの生活歴などを聞き取り調査に来ます。
    それと同時進行で、主治医に意見書を書いてもらう為、病院にて受診します。
  3. 市町村で認定までの時間は違いますが、約1ヶ月で結果が出ます。
  4. 結果が出ると、次はケアマネージャーの選定になります。
    知り合いにケアマネージャーがいたり、ご近所に居宅支援施設があればそこにお願いしても良いですが、もしそういう繋がりがなければ市役所にて相談すると良いでしょう。
  5. ケアマネージャーの後は、利用するサービスの介護施設を選びます。
    サービスにも種類がありますし介護施設毎に実費分の金額が違ったりするので、ケアマネージャーを通して何ヵ所か体験利用してから決めた方が良いです。

この流れが、介護保険サービスを利用する大まかな流れになります。
また、入所する介護施設を検討する場合や入院している場合などは、手続きの流れが変わったり病院の相談員さんが関わってくる場合もあります。

介護施設を選ぶポイント!!

介護保険に関するサービスについては、行政の方で金額が決められているので決めるポイントとしては、サービスの「内容」と「質」それと保険外サービスの「金額」になると思います。

1.通所介護を選ぶポイントは、同じ時間帯のサービスを受けるとしてもその時間内にどんな事をやってくれるのか、どんな雰囲気のスタッフがお世話をしてくれるのか、保険外サービスになるのか、昼食は1食いくらでどんな内容なのか、というのがポイントになると思います。
もちろん同じ金額を支払うのであれば、誰でも雰囲気の良いスタッフがいる介護施設やご飯が美味しい介護施設を選びますよね。

2.訪問介護を選ぶポイントは、まず求めている時間帯とサービスに対応出来るか、そしてスタッフの人柄というポイントになると思います。

3.有料老人ホームを選ぶポイントは、完全に保険外になりますので介護施設毎の金額に大きな差があります。
市町村単位でも平均額が変わってきますし、経営者の方針などでも大きく変わってきます。

介護施設は、入居費用は格安と言っても色々オプションがあったり、入居費用+介護保険サービス費が付いたりしますので、毎月支払える金額・本人の希望・入居費用・サービス内容を照らし合わせた上で、あとはスタッフの対応が良いと思える介護施設を選ぶと良いと思います。

また一度入所したら、その介護施設に一生居ないといけないという訳ではありません。
サービスの質が変わった、金額が上がった、スタッフとの信頼関係が上手く築けないという場合は、入所介護施設を変えるという事もできます。
最初の介護施設選びは「とりあえず今はここで」という発想でも良いかもしれません。

そしておそらく介護する側の家族さんは、40代~60代が多いと思います。
ちょうどその年代の方々は、自分の体にも痛みが出て来たり、孫の子守りなどをする年代でもあります。
なので、ある程度の事は介護施設の方で対応していただいて、自分の事や子や孫の為に時間を作ることができるというのも、介護施設を選ぶポイントにしても良いと思います。

最後までお読みいただきありがとうございます。
介護職をこれから考えている方の参考になればと思います。